ポニョ感想その２

割と面白いとこもあったのだけど、前回のような感想になったのは何故なのか、考えてみました。

いくつか解説などや、サンシャインのポニョ展なども見てきて、どうして前回不気味に見えたのか考えてみた。

所々可愛い所や凝った表現があって、ホノボノしていいハズだったのに、何故ポニョの不気味さばかりが自分の中に残ったのか。

宮崎氏は、幼いラブストーリィーと書いていたが、ラブストーリィーをいくつか書いた事のある身としては、あれはラブストーリィー未満にしか見えない。常軌を逸しているポニョの宗介に対する執着が理解できなくて、結果ストーカーにしか見えない。

ラブストーリィーとしては、2人の触れあいのエピソードが少なくて弱すぎる。
お互いを深く思い合うには、出会ったばかりで、どう見ても一目惚れではないし、見ている側からしてみると理解し辛い。
出会ったばかりの恋としても何か根底に好きになるエピソードがあれば、すんなり入れるものを、それもない。
例えば、千と千尋なら、千尋とハクは以前に出会っていて、お互いがお互いの解放に対するキーパーソンであった。惹かれる要素が充分ある。
ラピュタであれば、主人公バズウは父親の刷り込みでラピュタに対する憧れがあった。シータもケナゲで可愛かった。

そのような物がなくて、出会ったばかりでお互いに惹かれるには、エピソードが弱すぎるのだ。
これがポニョ側からの視点を重視して可愛く描かれていれば、まだもう少し救いがあったと思う。
ポニョを助けてくれた宗介、珍しい食べ物を与えてくれた宗介、追っ手から身を守ってくれた宗介。
途中の不気味な変身も、それを得て綺麗になりましたよという達成感があれば良かったのだ。

ところが、実際宗介に対して取るポニョの行動はあまりに身勝手で、回りだけでなく、宗介本人も巻き込んで津波を起こし、多大な迷惑を振りまいている。
可愛いものではない。
ポニョの一途さの表現としても、はた迷惑で、恐ろしいものだった。

宗介側から見たら、ちょっと拾った人面魚、風変わりでちょっと興味がある、けれど変な追っ手がついていて正体不明、あまつさえ恐ろしい津波を起こし、その上をターミネーター並の迫力で追ってくる。
それでも、自分を慕ってくれる上での行動と思っても、人面魚からカエル人間、不気味な姿にどんどん変身してしまう。

リサはすんなり不思議を受け入れても、見ている普通人の私には、不思議で済まされない迷惑で不気味な女の子（魚人間）にしか見えないのだ。
途中でいくら可愛い姿やエピソードがあっても、あの本性を乗り越えて私の胸に訴える力はなかった。

でも惹かれるのは、宮崎アニメとしての底力のお陰ではないかと思う。
仕方がないので、これは可愛いラブストーリィーなどではなく、はた迷惑な妖怪の女の子のドタバタ宮崎アニメだと思う事にするのであった。